川口市立中央図書館

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夏のとある暑い日に

火花

お笑い芸人の又吉直樹さんが芥川賞を受賞した「火花」を読みました。本当は買って読むべきなのでしょうが、いつも金欠に喘いでいる身としては、あまり書籍にお金をかける余裕がありません。そんな時に力強い味方となってくれるのが図書館です。しかし、話題の本はすぐに予約を入れないと、次々と予約で埋まってしまいます。

図書館の予約システム

ところで、殆どの図書館は館内の利用に関しては誰でもできるようにしているとは思いますが、図書館の利用カード作成(書籍等の貸し出し)はその自治体の住民や通勤通学者に限られていることも多いと思います。ただ、その線引は各市区町村によってバラバラで、日本国籍を有してさえいれば誰でも利用登録出来る自治体もあれば、都内在住が条件のところもあります。城東六区(墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区)は図書館の相互利用が出来るようになっていて、利用登録をすれば蔵書の貸出予約をネットですることが出来ます。おかげで読みたい本がより早く手に入ったり、地元の図書館には所蔵のないCDを見つけることが出来たりと非常に便利です。そして城東六区の図書館のうちのいくつかは、荒川からほど近い場所にあったりします。

図書館の利用登録カード

さて、今回人気の「火花」を読むために、私は地元の足立区立図書館を始め、荒川区、墨田区、江戸川区、葛飾区、そして埼玉県の川口市に予約を入れました。ちなみに江東区が抜けているのは、まだ図書カードを作っていなかったからです。

川口市立図書館は国内在住であれば、なんと0歳からでも利用カードをつくることができます。図書館カードの作成は本人確認が必要なので実際に図書館まで足を運ぶ必要はありますが、それによって次からはネットで予約が出来るようになります。ちなみにこれは蛇足ですが、足立区のお隣にある北区は図書館カードは誰でも作れますが、インターネットや電話からの予約は居住地別利用制度によって区内在住者か在勤、在学者に限られます。そうなると、仮にインターネットの蔵書検索で在庫のあることがわかったとしても、まずは予約をするために図書館へ出向き、借りる時にまた行って、返す時にさらにもう一度行かなければならないという恐怖の三度手間になってしまいます。何かのついででもなければ実際にはちょっと厳しいですね。

話を戻してこの、「火花」。どこの図書館も軒並み何百人待ちという大変な予約数で、いったいいつになったら借りられるのやらといった状況です。そこで少しでも早く借りるために予約システムを使って、より早いところから手に入れようという魂胆です。最近荒川を走るのも少し疲れてきたこともあり、それに伴い運動不足にもなってきたので、本を借りる名目で自分の錆びついた脚と身体にムチを入れようという意図もありました。

先ほどの三度手間ではありませんが、図書館は借りたら返さないといけないという二度手間システムですから、怠け者にはより効果的です。しかも返却期限があるので先延ばしに出来ません。あまりのんびりして期日直前まで読まずにいると返却期限日には都合や天候が悪く、返しに行きづらい状況になる恐れもありますから、その分早めに読むようにもなります。

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川口市立中央図書館のパソコン専用席

そんなわけで今回は他よりも早かった川口市の図書館で借りたわけですが、荒川から一番近いのは幸いにも川口駅に隣接している中央図書館です。何が幸いかと言うと、この図書館は「キュポ・ラ」という商業施設の5階と6階に入っているのですが、中が非常に広くて綺麗なんです。館内の全面ガラス張りの窓からは川口駅と駅前の景色が見下ろせますし、5階から7階まで一部吹き抜けがあったりと非常に開放感のある作りになっています。さらに閲覧席や自習席、パソコン席なども充実しているので、非常に落ち着いた時間を過ごせるんですね。図書館は小さいところだと閲覧席も殆ど無く、本を借りたらすぐに帰らなければならないほど自分の居場所がないところもありますから、涼しい環境でゆっくり座れる場所があるというのはそれだけで幸せです。特にこの暑い時期は、河川敷を少し走っただけで軽く死ねますからね。また、万が一返却期限ギリギリに悪天候に見舞われても、最悪電車で返しにいける立地というのも良いところです。

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実はこの記事は川口市立中央図書館に30席あるパソコン専用席で書いてます。Wi-Fiは特に用意されていませんが、ひとつの席にひとつの電源がついてます。最近こういう図書館も増えましたね。ユニークなのは、たいていの図書館がたとえパソコン席でもパソコン利用可能な席という、どちらかというと消極的な扱いになるところを、ここのパソコン専用席は文字通り持ち込みパソコンや電卓・タブレットを使う人のための席で、本の閲覧のみや機器を使用しない勉強をすることが出来ないという、図書館としては非常に珍しいものになっていることです。最初に予約が必要ですが、利用に制限時間もありません。普通なら座席は館内の蔵書を使っての調べ物や研究スペースとして使ってくださいというのが図書館のスタンスで、それに文句を付ける人もまずいないだろうと思うのですが、ここは持ち込み機器優先なんですから面白いものです。それが出来るのも館内に十分なスペースと余裕があるからなんでしょう。今日も相当な数の人がいましたが、それほど混雑を感じませんでした。

他にも持ち込みパソコンを使える席が5階の奥の方にあるんですが、そこは特に予約も必要ないパソコン利用も可能な席です。ちなみに、わが足立区の中央図書館にはパソコン利用可能な席はそこそこあるものの、Wi-Fiはおろか電源もありません。(※令和元年現在にはWi-Fiも電源も使えるようになっています。)

残念ながら図書館はどこも館内は撮影禁止になっているので、写真でその様子をお伝えすることは出来ませんが、非常に機能的で綺麗な図書館ですから、もし機会があれば是非一度訪れてみることをおすすめします。

川口市立中央図書館の駐輪場

駐輪場は利用者カードを提示すれば1日無料の場所もありますが、すぐ近くの駅前地下駐輪場が3時間までは無料なので、滞在時間がそれ以下の場合には利用すると良いでしょう。たんに本を借りたり、返却するだけなど時間が短い場合には、キュポ・ラ1階のスーパーの前に2時間まで無料の「マルエツキュポ・ラお客様駐輪場」がありますので、空いていれば断然便利です。

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また、駅前地下駐輪場は入り口が若干離れているので、知らないと迷うかもしれません。

出入り口は川口駅東口の駅前通りにあるココと、

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いったん駅東口を通りすぎ、暫く行ってから振り返ったココの2箇所になります。

荒川方面から行くと、どちらの入り口も信号を渡らないといけないのでちょっと入れづらいんですよね。それを嫌ってか、大胆にも駅前から駐輪場へ通じる階段を自転車を担いで降りる人もいたりします。

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中は定期利用者と一時利用者に分かれていますが、係員のおじさんが何人もいて、駐輪場所の指示や駐輪時間のシール貼りなど万事よろしくやってくれます。気をつける必要があるのは駐輪時間だけですが、仮に3時間をオーバーしても1日わずか160円ですから、それくらい滞在していれば十分元も取れていることでしょう。

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あまりいないとは思いますが、当然のことながらロードバイクなどは停めづらいです。係員の人がチェックしているのは時間だけですから、仮にそれが盗難自転車であってもわからないでしょう。高価なバイクはどうぞ持って行ってくれと言ってるようなものです。

火花は結局どうだったのか

芸人さんが芥川賞をとったということで色々と物議を醸した作品ではありますが、読後の感想としては普通に面白かったです。芸人の作品という先入観からか、もっと怒涛の展開を期待した人もいるようですが、そもそも純文学なんですから最初から最後まで波乱の連続とか、主人公に次々と襲いかかるサスペンスなんて期待してもあるわけありません。又吉さんと同時に受賞した羽田 圭介さんの『スクラップ・アンド・ビルド』もおよそ1年前に読んでいましたが、甲乙つけがたい内容だと思いました。どちらも芥川賞に相応しい、素晴らしい作品だと思います。

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